2023年4月21日、「経口中絶薬」について、厚生労働省の薬事分科会が承認を了承した。

早くて今月末には、正式に厚労省が承認すると報道されている。

中絶したくて妊娠する女性はいない。
だけど、性暴力被害や避妊の失敗等でやむをえず、中絶せざるを得ない状況になったときに、国際的に推奨されている経口中絶薬という選択肢が日本の女性にも増えることとなった。
SRHR(Sexual Reproductive Health and Rights)の課題の一つが、国際スタンダードに近づいた。
海外で普及し始めてから約30年以上たってからようやくだ。

私は先日、以前制作させていただいた「Safe Abortion Japan Project-安全な中絶と流産について適切な情報を伝えるためのWebサイト-(https://safeabortion.jp/)」の最上部に

「以下の情報はWebサイト制作時(2019年5月時点)の内容です。現在の状況と異なる内容が含まれることを予めご了承ください。2023年4月、日本で経口中絶薬が承認されました。」

と追記した。

2019年2月、E医師から日本での中絶・流産の処置についての現状を世の中に知ってほしい。もうすぐ取材を受けていた中絶をテーマにしたドキュメントがNHKで放送予定なので、それに合わせて、WHOの推奨する「安全な中絶・流産(セーフアボーション)」とは何かを配信し、中絶や流産について適切な情報を伝えるWebサイトを作りたい。とお話をいただいて、サイト(https://safeabortion.jp/)がローンチしたのが番組放送当日の2019年5月8日。

あれから4年…ようやくだ。
ただ、約30年以上何も動かなかったことからから考えると…たった4年な気もする。

まだまだ運用や管理について様々な課題はあるけれど、それでも、大きな一歩だと思う。

この課題に関して、多くの方が尽力され、貢献されたことはもちろんだけど、その中でも、日本の中絶の現状について、誠実かつ真摯に、当事者のリアルを取材し、制作、放送(「中絶という、痛み 見過ごされてきた心と体のケア (https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/229/)」NHK)し、幅広い世代に伝えた、M氏と、想像を絶するほどの逆風の中、それでも心折れずに、信頼できる機関のエビデンスに基づいた情報をメディアやSNS、change.org(https://www.change.org/p/厚生労働大臣-安全な中絶-流産-の選択肢を増やしてください)等を通して配信、提供し続け、常に当事者に最善の形で医療やケアの選択が行われるようにと、適切な情報と知識を提供され続けた、E医師に、尊敬と感謝を伝えたい。

私はフリーランスとして独立した時に「女性が今よりも生きやすい世の中になることにデザインで貢献する」をコアとしてスタートしたから…少しそうなれた気がして今、とても嬉しい。クリエイティブ面を任せていただいて本当にありがとうございました。

余談だけど…ワンクール前にやってた草彅 剛さん主演の月10ドラマで「経口中絶薬を日本で認可させたい」みたいなセリフを井川遥さんが言ったシーンをたまたま見ていて、経口中絶薬の認知がこんなにも世の中に広まったのかと…4年前なんて私も含めて一般の人が知っていることなんてほとんど考えられないくらい、情報がなかったのに…と、本当にグッときた。

世の中を変えることはとても難しい。
だけど、声を上げ続けることで変わることはあるのだと体感した。
そして、クリエイティブがその一助になるように、私はこれからもブレることなく、この仕事を続けていきたいと改めて思った。

※経口中絶薬承認については、以下のジョイセフさんの記事にわかりやすくまとめられていましてので、もし興味がありましたら、ぜひご覧ください↓

経口中絶薬 日本で初の承認へ